ひとの為に生きる人へ

あなたは、他人の為に何かをしたことがありますか?私は、ありません。

もちろん、私にだって、他人に贈り物をしたことがあります。でもそれは、常に自分の為でした。私が贈り物をするとき、私には様々な目的がありました。お返しが欲しい。自分を好きになってもらいたい。関係を維持したい。関係を深めたい。ありがとうと言って欲しい。人を喜ばせられる人でありたい。あなたの喜ぶ顔が見たい。センスのある人だと思われたい。あなたにとって重要な人でありたい。あなたの世界を広げたい。記憶に残りたい。あなたに幸せになって欲しい。あなたにこれを贈りたい。

すべての贈り物は、私のこのような欲望を満たす為だけのものでした。もちろん、常に望む結果が返ってくるわけではありません。それでも私は、それが望む結果に繋がると信じて、物を贈りました。あなたを喜ばせたい、という欲望を満たす為には、あなたのことをよく考える必要がありました。正直これは難しいことです。一番簡単に満たせるのは、あなたにこれを贈りたい、という単純な欲望でした。ただ贈ればよいのですから。もしかしたらその欲望は、背後に様々な高次の欲望を抱えていたのかもしれませんが、ともかく、私はそれを贈ることによって満たされました。

私の行動はすべて上記のように説明できます。私は私の欲望を満たす為だけに行動します。あなたの為に何かをすることはありません。するとすれば、それはあなたの為になることによって、自分の為になる、というようなときだけなのです。

私のことをひどい人だとお思いでしょうか。愛のない人間だとお思いでしょうか。愛に他者への奉仕が含まれるとしたら、私はおそらく愛のない人間です。私はあなたに、自分が愛のある人間だと思われたい、という欲望を持っていますから、表面上、あなたを想っているように行動するでしょう。でもそこに愛はありません。あるとしたら自己愛です。

私からの愛が欲しい人へ。どうか諦めてください。私にはあなたのための愛がありません。あるのはせいぜい、あなたに幸せになって欲しい、という浅はかな自己愛のみです。私が満たされるには、あなたに幸せになってもらうほかありません。だからあなたの幸せに、私の愛が含まれていては困るのです。どうか諦めて。どうか諦めて、私からの愛のまがい物で満足して、そうして幸せになってください。